初めて撮った写真 【archive】
2011年 05月 14日
すっかり忘却されてしまって、自分で考え、判断した事実であったにせよ、何を撮りたかったのか、もはや推測するしかないものも多い。「記憶にない」という言葉は、実体験として誰もが知っているところである。
初めて手にしたカメラは、当時母親が使っていたキヤノンデミという35mmハーフ判カメラだった。露出は追針式だったが、ピントが目測で主な被写体が人だったので、これには辟易していた。今なら上手に使いこなせるかもしれないが、当時は、絞りと被写界深度の関係なんて全く知らなかった。
お小遣いをためて、初めて買った自分のカメラは、キヤノンAE-1Pという一眼レフで、中学生にはとても高価なものだった。本当はカタログをなめるように眺めていたオリンパスOM-10という機種を買うつもりだったのだが、カメラ屋のオヤジにあえなく却下された。購入のチャンスを逃したくなかったので、全く知らない機種だったが、オヤジの勧めをのむしかなかった。
当時はキヤノン、ニコンの2大メーカーのカメラ性能が圧倒的といわれていた時代だった。
初めて買ったカメラのファーストショットで何を撮ったか。フィルムを見返してわかったことだが、両親を撮っていた。
律儀というか、購入を許可してくれた両親へのお礼の気持ちだったのだろう。そういう人間である。
[AE-1P NFD35-105 P 1983, Nov]
[AE-1P NFD35-105 P 1983, Nov]
空シャッターは一杯切った。
購入した夜はうれしくてシャッターを切りまくっていたら、うるさくて眠れんと親父に注意され、それでも布団の中にもぐりこんで、いつか吐き出されるであろう絵を想像しながら、シャッター音と巻き上げレバーの感触を楽しんだ。