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CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体


予告通り105.png、CONTAX 139QのB個体を入手しました。
今回、縁あって我が手元にやってきた139君(B個体)についての備忘録です。
 
  
 
まさにパーツ(巻き戻しクランク軸)を求めてジャンクからジャンクへの渡り鳥。
たった1本のピンを入手するために1個体を手に入れる必要があるという、ちょっと非効率なことをやっている。
これはCONTAX S2のクランク軸が折れてしまったことに端を発するのだが、正規のメーカーサービスはとうの昔に解散してしまっており、そうでなくとも製造後20年以上が経過しているクラシック製品になる。
この修理のために、唯一正規に近い修理業者にパーツを売ってもらえないか打診をしたのだが、案の定、取りつく島もなく断られてしまった。
たった1本のピンのために無駄なお金を…と、いきなり話がそれてしまった。
 
 
 
そのクランク軸をS2に移植するために入手したA個体は、ファインダーに汚れがあるものの、機械としては完動品であった。
結局、別個体からクランク軸を求め直すことにした。



前回と同じく、入手先はネットオークション。
1円の商品を1円で落札した。
不動品のジャンク品であった。
もっとも、出品時は167MTと同時出品で、167MTは電池の液漏れが激しく、底板や内部に青錆が浮き、金属も腐食している状態だったため、誰もあえてそのような個体を手にしたくはなかったのだろう。
167MTは単3電池仕様なのである。どこでも調達できるのはありがたいが、液漏れで腐食している個体も多い。
あっさり開始価格の1円で落札となった。
近くでジャンク市があれば、実際に手に取って確認できるので理想だが、地方都市ではその機会もほとんどない。




 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_21404676.jpg
[CONTAX 139Quartz ジャンク品]




167MTのオークション写真には、なんとフィルムが装填されたままになっており、ちょっと興味もあったのだが、フィルムは抜かれて送られてきた。
余計な作業がなくなったが、167MTそのものには用がないため、そのままお蔵入りということになった、



さて、139Q B個体を確認する。
表皮は例によってボロボロ。ボディ本体(ダイキャスト部)の塗装もところどころ錆が浮いており、全体的に汚れが付着しており汚い。
かなりひどい環境に長時間曝されていたような感じだ。
シャッターも下りない。
電池ボックスをみると、LR44が入ったままだった。
念のため、電池を交換すると、ファインダー内部のインジケーターが点滅した。
シャッターは動いた。正確には、動いたり動かなかったりする。やはりジャンクだ。



この際なので、壊さない程度に分解してみる。
このカメラの分解はプラスドライバー1本でかなりの部分まで進めることができる。
注意するところは、巻き上げレバーの固定ネジ(ゴム下)が逆ネジになっていること、ボディ背中側のレリーズソケット部のプラスチック(CONTAX共通)のパーツを外す必要があること。
このパーツは、ゴムを押し当てて回すと外れる。




 
[シャッターボタン自体がネジになっている。]




シャッターボタンもねじ込み式になっているので、ゴムを押し当てて回すと外れる。
このシャッターボタンだが、しっかり固定し直すと、シャッターが下りるようになった。締め込みが足りず、接触不良になっていたような感じだ。
分解過程で分かったことは、この個体はかつて分解された形跡があること。
貼り革が過去に貼り直されている跡があったことと、マウントカバーを固定する微細ネジが1個欠けていた。
素人作業だったのだろうか。



不動だった、AEロックもなぜか動くようになった。
セルフタイマーも動作する。
ジャンクには違いないが、パーツが破損したり変形したりしているわけではなさそうだ。





 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_21541433.jpg
[プラスドライバーだけでどんどん分解できる感じ。]




裏蓋、レンズマウント、マウントカバーは、この順でネジを外すだけ。




 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_22131723.jpg
[単純な構造のため、特に難しい箇所はない。]




軍艦部は、巻き上げレバーのバネ固定金具を外す。
シャッターボタンと同軸になっている露出補正ダイヤルを外す。その下の回転パーツがバラバラになってしまうので、固定するべき位置関係を記録しておく。




 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_22133411.jpg
[ここまでは特別は工具は不要]





トップカバーには半田での結線がないため、そのまま外れる。
ファインダーの汚れを取りたいので、プリズム部を覆っている基盤を外したいのだが、ところどころに、マイクロサイズのコイルバネやトーションバネを外していかないとプリズムには到達できない。Cリングもいくつか見える。
接眼部を覆っているプラスチックカバーが外れるので、接眼部だけきれいに拭いておく。





 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_22135973.jpg
[ここも結線なし。端子が接触しているだけ。]




正面右側のAEロックボタンとセルフタイマーレバーは、結線なく、ネジだけで固定されている。
ここを外すと、少し内部が見えてくる。





 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_22140955.jpg
[難しい分解なしにアクセスできるギアはここだけ。]
 




マウント部のネジをさらに外していけばミラーボックス周りのシャッター機構に手が届きそうだが、元に戻れなくなる可能性が高いため、今回はここまでにしておく。
ギアがかみ合っているところに、オイルを少しつけ、何度かシャッターを切ってみる。
シャッタースピードのダイヤルを変えると、音を聞いて判断する限り、高速側で精度が出ていないようだ。



外したカバーパーツは石鹸で水洗い。
白い文字が白く浮き立ち、見違えるようにきれいなった。
あいにく、レンズを付けてみると、ファインダーが曇って見える。
フォーカシングスクリーン内側かプリズム表面に汚れがついてしまっているのだろう。




CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_09091478.jpg
[これができるだけでも十分に分解する価値あり。]





外見から判断し、相当環境が悪いところで長時間曝されていたことは間違いない。
ミラーも汚れがひどかったし、ミラーボックス内部も細かな埃が積もっている。
これらのごみがギアなどに入り込んでしまっていることは容易に想像できるが、今回は可能な限りきれいに掃除をしておく。
このままでは現場復帰というわけにはいかないものの、いつか、しかるべき業者さんの手によって、ちゃんと整備してもらえたら、この子は間違いなく復活できる。
B個体はとりあえず”動く”状態で組み上げ、このまま、引き出しにしまうことにした。





 
CONTAX 139Quartz 清掃備忘録 B個体_b0226573_23282610.jpg
[CONTAX 139Quartz  B個体(左)、A個体(右)]





最後に貼り革を貼って、記念撮影。



2台の139Qをいじってみて、この機種にとても親近感を持った。
CONTAX一眼史上、最も軽く、最も小さい。かのニコンEMやOM-1とほとんど寸法が同じ。
ネットで情報を漁ったところ、デジタル時代だからこその懐古趣味か、そこそこに人気があるようだ。
内臓ワインダーもなく、機構はシンプル。フィルム巻き上げレバーの存在が効いている。
外観デザインも古臭くない。



内部は電子化されている故、基盤が故障するとそこで終わりなってしまう可能性が高いが、意外と壊れにくい(ようだ)。
ZEISSレンズを気軽に楽しめる機種として、139Quartzはおすすめです。


 

   


by f-izuki | 2020-08-03 01:13 | Comments(0)

反復と破壊と小さな創造 神戸発写真系ブログ


by 石谷 山山
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